【解説】「機動戦士ガンダムSEED」MSデザインの魅力  大河原邦男の伝統と進化

人気アニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの完全新作となる劇場作品「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が2024年1月26日に公開される。“21世紀のファーストガンダム”とも呼ばれる「SEED」シリーズは、ガンプラも好調で、小学生を中心に“第二次ガンプラブーム”を巻き起こした。放送終了後もガンプラ、フィギュアなどの新作が発売されており、人気を集めている。「SEED」は、モビルスーツ(MS)のデザインが大きな魅力の一つで、その後の「ガンダム」シリーズのMSデザインにも影響を与えた。「SEED」のMSデザインについて解説する。

 ◇高いエンターテインメント性 “種ポーズ”も

 「SEED」シリーズは、大河原邦男(おおかわら くにお)さんが山根公利(やまね きみとし)さんと共にメカニックデザインを手掛けた。大河原さんは1972年に放送をスタートした「科学忍者隊ガッチャマン」で初めてアニメのメカデザインを手掛け、「機動戦士ガンダム」や「装甲騎兵ボトムズ」など数多くのメカを手掛けてきた巨匠だ。

 「SEED」に登場するストライクガンダムは、複数のデザイナーの案を基に、大河原さんがクリンアップした。大河原さんは「SEED」では「ファンが求めるであろうデザイン」に変えたことを明かしている。「機動戦士ガンダム」では、近未来への期待、“未来の戦争”を感じるようなリアル感を意識していたが、「SEED」ではエンターテインメント性を高めた印象を受ける。

 フレームを意識したデザインも特徴だ。ストライクガンダムは、X100系というフレームを採用し、人体のような運動性能を発揮する。「SEED」はファンの間で“種ポーズ”とも呼ばれるポージングがおなじみだが、広い可動域によって実現するところもあるのだろう。

 ストライカーパックシステムによって、高機動戦闘、対艦攻撃、近接戦、砲撃戦などに合わせて装備を換装できるのも特徴だ。換装することによって、さまざまな戦況に対応できるわけだが、ガンプラなどの玩具としてのプレーバリューが高く、エンターテインメント性もある。

 ◇Z.A.F.T.の多彩なMS

 Z.A.F.T.のMSも大河原さんらしさを感じる。主力量産型MSのジンは、「機動戦士ガンダム」のザクIIのようなモノアイで、どこか懐かしさを感じる。トサカのような頭部センサー、バックパックの翼型スラスターなども特徴で、「ガンダム」シリーズの伝統を受け継ぎつつ、進化したデザインが放送当時、新鮮に見えた。

 ほかにも、非人型、動物型のバクゥ、水中用のグーン、ゾノ、タンク形態に変形するザウートなど Z.A.F.T.のMSは多彩だ。

 ◇「SEED FREEDOM」はどうなる?

 最新作「SEED FREEDOM」のメカニカルデザインは、大河原さん、山根さんに加え、宮武一貴(みやたけ かづたか)さん、阿久津潤一(あくつ じゅんいち)さんらがクレジットされている。どんなMSが登場するのかも楽しみだ。